2021年3月、ホンダ技研は世界で初となるレベル3の自動運転機能を搭載したレジェンドを発売した。これにより条件付き、限定されたケースだけの利用となるが、車の運転の主体が「システム」になる自動運転が可能になり、自動車業界に大きな革命をもたらすこととなった。

自動運転は自動車業界に発展をもたらすか?

レジェンドの発売を皮切りに、世界各国の自動車メーカーはさらなる自動運転の開発に向けて躍起になることであろう。自動運転は停滞している自動車メーカーにとってエポックメイキングになるかもしれない。しかしその一方で、車の自動運転技術は自動車メーカーにとって暗い影を落とす結果になると考える人も少なくない。

自動運転の発展により起こること

なぜ自動運転は自動車メーカーにとって喜ばしいニュースとは言い切れないのだろう?
それは自動運転がたどり着く究極は、個人が自動車を保有する必要がなくなることだからである。
現在「自動車を持たない」という選択肢をとっている人も少なくないが、まだまだ多くの人が「自動車が日頃の足で必要不可欠だ」と感じている。自分が好きな時に任意の場所に移動することができる自動車は、多くの人にとって必須である。
しかし自動運転が進化して完全に無人運転ができるとどうなるか?
幹線道路に出れば無人の自動車が走っているだろうし、必要な時に自宅に呼べばよい。まるでタクシーである。タクシーの利用料金のほとんどは運転手の賃金なので、無人で走っている自動車を利用するだけならタクシーを利用するよりも大幅に安く利用できる。
自動車を保有すると購入代金とは他に税金、保険、車庫代、車検や修理代、メンテナンスなどランニングコストが必要であるが、自分が利用したい時に利用できる無人の車があれば、こういった代償と引き換えに車を所持したいと思う人は格段に減るであろう。結果として毎日、仕事や通勤で自動車が必要な人以外、自動車を所有するメリットは無くなってしまうのである。

自動車メーカーは今後どうする?

自動車メーカーは大きなジレンマを抱えている。自動運転の進歩は短期的に見れば会社に大きな収益をもたらすであろう。しかし長い視点で見た場合には、自分で自分の首を絞める自殺行為以外に他ならない。果たして自動車メーカーはこの矛盾をどうやって解決するのだろうか?